相続手続きは誰に依頼するのがよいか
1 相続手続きの分野によって扱える専門家が異なります
人が亡くなると、その人が残した財産・債務(権利義務)は、民法第896条に基づいて相続人に承継されます。
しかし、相続人がその財産を実際に取得して利用などをするためには、不動産の相続登記、銀行口座にある預貯金の解約や払い戻し、有価証券の名義変更などの手続きを行わなければなりません。
また、相続財産(みなし相続財産含む)の評価額が一定金額を超える場合、原則として相続税の申告が必要となります。
法律上、相続人の方がこれらの手続きを行うことはできますが、いずれも複雑であり、手続き先によって必要となる書類や資料も異なります。
そのため、専門家に依頼した方がスムーズに手続きを進めることができます。
相続手続きは、種類によっては扱うことができる専門家が限定されています。
以下、各専門家が扱うことができる相続手続きについて説明します。
2 司法書士に依頼する場合
司法書士は、基本的には遺産分割の交渉や紛争、相続税申告、裁判所における手続き以外の、相続人調査や遺産分割協議書の作成、相続登記、預貯金や有価証券の解約・名義変更等を扱うことができます。
特に、不動産登記に関する高い専門性を有する専門家であり、相続登記は司法書士か弁護士でないと扱うことができません。
相続登記は、管轄の法務局に申請書を提出して行います。
必要な書類としては、一般的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、被相続人の住民票除票または戸籍の附票、不動産を取得した相続人の住民票、遺産分割協議書などが挙げられます。
これらを正しく揃えるのは、専門家でない方にとっては大変な作業です。
なお、不動産登記法改正により、2024年4月からは相続登記が義務化され、基本的には相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
3 税理士に依頼する場合
相続税申告の代理は、税理士でないと扱うことができません。
逆に、相続登記の代理申請をすることはできません。
相続登記と交渉、紛争、裁判所における手続き以外の、相続人調査や遺産分割協議書の作成、預貯金や有価証券の解約・名義変更等を依頼することはできます。
原則として、相続財産の合計額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には、相続税の申告と納付が必要になります。
相続税の申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内と定められており、期限を過ぎると延滞税や加算税が課される可能性があります。
相続税を算定する際には、不動産や株式などの複雑な財産評価が必要であり、一般の方が正確に税額計算をするのは容易ではありません。
特に不動産の評価額や、特例の適用の可否は申告税額に大きく影響するため、経験豊富な税理士に依頼することは節税やリスク回避の面で大きなメリットとなります。
4 弁護士に依頼する場合
遺産分割に関する相続人間の利害調整や交渉、家庭裁判所での調停および審判の代理は、弁護士しか扱うことができません。
その他の相続手続きについては、基本的には相続税申告以外のものを扱うことができます。
相続において相続人同士の意見が対立することは、珍しくはありません。
遺産分割協議がまとまらない場合は、弁護士に依頼するのが適切です。
弁護士は、代理人として相続人の代わりに交渉や調停、訴訟等を行うことができます。
誰がどの財産を取得するかでもめている場合や、特定の相続人が相続財産を持ったまま連絡を断っているといった事案においては、弁護士が介入することで法的根拠に基づいた解決が期待できます。
5 行政書士に依頼する場合
行政書士は、一般的に官公庁に提出する書類の作成を業務とする専門家です。
相続に関しては、交渉や紛争、裁判所における手続き、相続登記、相続税申告以外の手続きを扱うことができます。
例えば、遺産分割協議書の作成や、金融機関における預貯金や有価証券の解約・名義変更が挙げられます。
このような手続きが多数ある場合には、行政書士に相談、依頼をするのもよいと考えられます。
6 専門家を選ぶ際のポイント
相続手続きは、財産の内容や相続人の関係性によって必要となる専門家が異なります。
不動産の相続登記が多数ある場合や、複雑である場合には、司法書士に相談をするのが望ましいと考えられます。
相続税の申告が必要である場合には、税理士への相談が必要となります。
相続人間で争いがある場合には、弁護士でないと遺産分割協議や調停の代理人になることはできないため、できるだけ早く相談しましょう。
争いがなく、相続登記や相続税申告以外の相続手続きが多数あるような場合には、行政書士に相談をすることをおすすめします。
また、相続登記と相続税申告の両方が必要な場合など、相続手続きは一人の専門家だけで完結できないケースも多いです。
複数の専門家や、複数の資格を持つ専門家が在籍し、ワンストップで対応できる事務所を探すのも有効な方法です。
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